よしまる

ギャング・オブ・ニューヨークのよしまるのレビュー・感想・評価

2.9
 胸を撃ち抜かれても腹を刺されても死なないって、昔の人の肉体は強靭だなぁ、、という感想に至るまで約2時間、長いっ!

 そこからようやく話が動き出す。いつもなのかどうかそんなにたくさん観ていないのでわからないのだけれど(と言いながらいくつも観なくてもだいたい察しがつくのだけれど)スコセッシ監督のテンポの遅さはどうにも自分には慣れない。何言うてんねん
、そこがいいねん!という方もいることだろう。

 ただ、テンポそのものは好みの問題だとしても、あからさまに「この画が撮りたかったんです!どや!」っていう割に、たいして良くなかったり、話に関係なかったりするシーンが多くて、これもおそらくはスコセッシ節と察しがついてしまう。つまりは好みの問題ですね、ごめんなさい。

ギャングと言えばアルカポネとかゴッドファーザーみたいなのを想像していたら、もっと昔の話、南北戦争のさなか、19世紀の物語だった。

 アイルランドからの移民が押し寄せていたころのニューヨークの一角、もとからのアメリカ人と移民たちの激しい対立の中、先住民代表のダニエル・デイ=ルイスと移民代表のレオナルド・ディカプリオの因縁を描いた歴史もの。
 ギャング同士の抗争に徴兵制度に対する移民たちや貧困層の暴動が絡み、時代のうねりが2人を飲み込んでいくという、見応えのあるスペクタクルな映画だ。

 街ごとこしらえたというセットの壮観さ、手練れな俳優陣と、どう考えてもめちゃくちゃ金と時間かけてますはいいのだけれど、それに比べていかにもキャラクターが弱い。

 ディカプリオやキャメロン・ディアスはルックスこそ抜群なものの、人物の設定にも描写にも深みが感じられず、これが脚本のせいなのか演技のせいなのか、そこを悩んでしまうことすらどうでもいいくらいになんだかペランペランな感じがした。

 ボク自身なんてペラペラで何も考えてないと思われて当たり前なのだが、これだけの大作の登場人物なのだから、どんなことを考え、なぜそのような行動に及んでいるのかが伝わってこそ、そこにドラマが生まれ、感動を呼び起こすのではないか、行き当たりばったりで画だけ美しくても、、と、欲ばりなことを感じてしまう。

 どうもスコセッシ監督は、美術や音楽やらは最高なのだけれど、人物描写に物足りなさが残る。これって皆さんにとっては「何を今更」って感じなのでしょうか?