つかれぐま

アンタッチャブルのつかれぐまのレビュー・感想・評価

アンタッチャブル(1987年製作の映画)
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今考えたい「正義」。

禁酒法時代のシカゴ。
不正はびこる警察に背を向けて、正義を信じたアンタッチャブルズ(買収できない男たち)の4人が、命懸けで悪の帝王カポネを追い詰める。

『ゴッドファーザー』の成功以降、ハリウッドのクライム作品は、スコセッシたちが作る「悪側の物語」がすっかり主流になっていた。そこに登場した本作は正義ど真ん中のストレート。実に胸のすく勧善懲悪の娯楽作。

メイン3人のキャラ立ちが良い。
❶当時まだ駆け出しのケビン・コスナー➡青臭い捜査官、❷ボンドを引退しすっかり枯れたショーンコネリー➡老練の警官、❸脂の乗り切ったデニーロ➡悪の帝王カポネ、と各俳優の当時の状況がそのままハマった配役が絶妙。ルーク、オビワン、ベイダーというスターウォーズの3人と似たこの設定は、どんな時代の話にしても面白くなるね。最初はあまりに堅物だったコスナー演じる捜査官が、大義の為、徐々に清濁併せ呑んでいく成長ぶりが良かった。

長尺になることが多いこのジャンルを、120分でまとめて見せたデパルマの手腕も光る。紋切型にもなりかねない「正義側の物語」を、面白いカメラワークで飽きさせない。今回久しぶりに見たけれど、はっきり覚えていたシーンが多かった。たとえ勧善懲悪というオールドスタイルな話でも、その映像美で作家性がちゃんと出せることを証明したんじゃないかな。

モリコーネの音楽、アルマーニの衣装。
見所満載のクールな娯楽作だ。