あざらし

アンタッチャブルのあざらしのレビュー・感想・評価

アンタッチャブル(1987年製作の映画)
5.0
「俺はこの街の民意に応えているんだからな。」

1930年。禁酒法によってシカゴの街は戦時と化していました。
10億ドルと言われる密造酒産業の支配権を巡り、ギャング同士の抗争がエスカレートしていたのです。それは正にアル・カポネの暗黒の時代でした。

とても贅沢な部屋で、1人の男がヒゲを剃られていました。ご機嫌な彼は、彼を囲む記者らに語っています。記者らは彼のご機嫌を取っているように笑いながら、それをメモにとります。

文句無しの傑作だと思っています。
この映画でケヴィンコスナーのファンになりました。
この映画の主題歌が流れるだけで、ドキドキします。

何が好きかというと
古めかしいのに、とても美しい映像だったり、ちょっとした日常に潜む驚くような仕掛けのある演出であったり、何気ない会話なのにお洒落であったりする脚本も素晴らしいと感じます。

ロバート・デニーロがゴッドファーザー以来の恐ろしいマフィア役を演じるのを観て、その演技に目が釘付けになります。インターンで演じる好々爺と対比すると、彼の演技力が分かります。

旬なケヴィン・コスナーの横顔の美しさには溜息が出ます。彼の誠実そうなキャラクターにぴったりのこの役が何ともハマっていて、見るたびに恋をしてしまいます。

アンディ・ガルシアはこの映画では新人でしたが、この頃、主役を何度も演じています。純であるのに強気で、そこが若々しくて素敵です。

もちろん、ベテランであるショーン・コネリーも若き刑事を支える重要な脇役を見せてくれ、スクリーンが彼によって引き締まります。

大好きな映画です。
このストーリーは何度も映画化されているので、歴史的な重厚さを主に見せた物が多く感じていましたが、この映画はそれに➕して、エンターテイメントとして楽しめる映画にもなっています。そこのバランスがとても良い映画だと思います。

この映画は実在するストーリーなので、ヘタをすると退屈に進んだり、反対にエンターテイメント色が濃くなり、薄っぺらな映画になりがちなのを、最初から最後までワクワクしながら魅せてくれます。

この映画には、大好きなシーンがたくさんたくさん含まれているのです。

「叫んでいるのは、貴様の方だろうが。」
あざらし

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