何やら過去にトラウマを持つ女性の、心の傷とその再生を描いていくヒューマンドラマ。
主演サラ・ポーリー、監督イザベル・コイシェ、これは『死ぬまでにしたい10のこと』のタッグ。そっちが好きだったもんで興味を持ち、前情報もとくにない状態で鑑賞。共演にはティム・ロビンスなど。主人公の女性ハンナはどうやら過去の何かが原因で心を閉ざしていて、また聴覚障害もあり、気持ちの隙間を埋めるが如く毎日淡々と仕事をこなし暮らしている。彼女の「心の傷」の部分は後々判明するんだけどそれはとりあえず置いとくとして、日常的な風景、何やら孤独な姿というのを静かに映し出していく。で、ひょんなことから海上の油田掘削所に看護師として出向くことになるんだけども、ここらへんもとにかく淡々と事が進んでいく。やがて出会う様々な過去や秘密や想いを持つ者たちとの交流を機に、自身の他人との付き合い方にも変化が、という流れ。
共鳴しながら打ち解けていく様子にはちょっぴりほっこり。で人生のこと、出会いやら別れやらのシンプルな物語かと思いきや後半、その主人公のトラウマの深さ、深刻さにやられる。いやしかし前述したように本当に真っさらな状態で見たもんで、かなり面食らった。油断してた。ただこれというのも変に重々しくは描かず、けれども決して軽々しくもないという、良きあんばいにはなってる気がする。今作に関してはまぁ、前半で飽きてしまう人もいるかもなーと思ったのが正直なところ。主人公の行動、孤独に過ごす理由がわからない時間が結構長くて、そこは完全に想像力を働かせないといけないし集中力も必要、かな。見終えた後に序盤だけでも今一度見てみると、諸々知ってる状態だからこそ気づける細かい描写の数々、そこにある情緒というもの。のんびり見る系だけど、油断してると意外とズキンときてしまう、そんな一本。
