なべ

恐怖の報酬のなべのレビュー・感想・評価

恐怖の報酬(1953年製作の映画)
3.0
1953年のオリジナル版恐怖の報酬。LDは持っていたがスクリーンで観るのは初めて。
そこそこ楽しみにしてたのだが、全体的にのんびりしててスリルが足りない。ツッコミどころも多い。公開当時はともかく、今となっては古臭い骨董品といった趣きだ。歴史的な価値はあっても、もはやスリラー映画の最高峰とは言えない。
かつてフリードキンがリメイクした時、評論家どもがこぞって本作に遠く及ばないとリメイク版に駄作の刻印を打ったのだが、今回両作品を同日に同劇場で見比べたことではっきりした。当時の批評家は思い出補正によって正しい評価がまるでできていなかったのだと。
もちろん恐怖の中でマリオとジョーの立場が変わっていく逆転劇は今見ても白眉だ。が、野暮ったい表現や粗い描写も目立つ。フランス語とスペイン語(一部英語も)がなぜか普通に通じていたり、道幅が広いのにわざわざ切り返す見せ場の不自然さなどがいい例だ。
映画の感想は人それぞれ。評価は金を払って見た人のものだから、いろんな意見があっていい。この作品のレビューも褒めている人から貶している人まで十人十色。一方、フリードキンのリメイク版の方はどうだろう?
これがどれもこれも高評価。おもしろくて、読んでるだけでワクワクするほど。こんなにみんなが褒めてる映画は珍しい。てか批評家より一般人の評価の方がよほど正当だわ。インターネット万歳! まあ、皆さんも読んでみてください。
あれ?クルーゾー版のレビューのはずがいつのまにかフリードキン版の賛辞にw
というわけでクルーゾー版は、極限状態を描いたサスペンスというよりはヒューマンドラマと割り切って観た結果、スコアは3.0でした。
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