このレビューはネタバレを含みます
家にVHSはあったがデッキが無く、プライム・ビデオで発見したので鑑賞。
10年間昏睡状態だった主人公が目覚めてからストーリーがスタート。
14歳の頃に交通事故にあったため、24歳になった彼に先生は「すぐに取り戻せる」と伝える。
しかしそんな彼は事故のことも覚えておらず、失ったものも見つからず、父親の友だちと住むことになる。
友だちの藤森は両親が経営していた牧場跡地に釣り堀と違法廃棄物の受取で生計を立てている。
その藤森に連れられ、牧場はすでになくなったことを認識し、また両親が離婚したことも同時に認識する。
そして彼が失った家族を取り戻すため彼は牧場をもう一度立ち上げる。
そのうち出張で飛び回る父や母、妹が少しずつ戻って来るのだが…
随所に黒沢節のクスッと笑えるシーンが自然に描かれていたり、いやいや、馬は勝手に敷地の中に迷い込まへんやろ!といったシーンを実に自然に見る手に受け入れさせられるところに監督の力量を感じる。
大杉漣演じる加害者が冒頭で主人公に「私も10年を失った」と話す。
後半、牧場付近の工事現場で働く加害者が登場し夜、牧場を解体し始めるシーンがあるのだが、この2時間を切る映画の尺でサブキャラの彼の人生がドン底まで落ちたところをそのシーンに描けてしまっていることもすごい。
哀川翔演じる妹の彼氏役が「小学校までは天才と呼ばれてて、今は目障りと言われる。
けど目障りな方がラクで良い」というセリフにニンゲンの心情を理解しているな〜と納得させられた。
ラストシーンの藤森演じる役所と主人公の西島のセリフは何とも言えない凄みを感じた。
風邪で弱った時に観たので役所はやっぱり心に染みますな〜