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ザ・ファンのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

ザ・ファン(1996年製作の映画)
4.3
サンフランシスコ、4月。中年のナイフのセールスマン、ギル(ロバート・デ・ニーロ)が熱狂的に応援する地元ジャイアンツの開幕試合の日が来た。今年はブレーブスから4千万ドルで獲得した大物スラッガー、ボビー(ウェズリー・スナイプス)がホームタウンに戻ってきた。
ラジオの女性スポーツ・キャスター、ジュエル(エレン・バーキン)は番組中、ボビーにインタビューを試みた。前年は故障者リストに入り春のキャンプにも参加していないボビーに、彼女が「本当に4千万ドルに値するか」と辛辣な質問をしたところ、番組に参加した視聴者代表のギルはボビーの偉大さをまくし立て、ファンとしてエールを送った。
一方、ラッキーナンバーが11番のボビーは、背番号が33番と知って激怒する。その背番号は彼のライバル、プリモ(ベニチオ・デル・トロ)が付けていた。ボビーは背番号を譲るようにエージェントのマニー(ジョン・レグイザモ)に交渉させるが、50万ドルという値をつけて断ってきた。
一方、生活が荒れていたギルは、別れた妻エレンの元にいる幼い息子リッチーを開幕戦に誘った。
エレンはギルの素行に注意し、彼から遠ざけようとしていた。
試合が始まったが、ギルは客と面会の予定を入れてしまい、試合に集中できない。ボビーは前日、重病の少年に約束したとおり、満塁でホームランを打った。
ギルは球場を後に車を飛ばして客の元へ急ぐが、相手は予定を変更して球場に行ったと聞かされて激怒した。球場に戻ると、息子は親切な老夫婦が家に連れ帰った後だった。
ギルは上司からクビを言い渡され、エレンからも今後は息子に近づかないという、裁判所からの拘束令状を受け取る。
全てを失ったギルは、人生の拠り所をボビーに向けた。そのボビーはスランプに陥っていた。
ギルは試合後、ロッカールームに電話をかけてみたところ、ボビーが簡単に電話に出たことに驚く。ボビーは望めば手の届くところにいる。
ギルは野球選手のたまり場のバーで例の背番号問題を聞きつけ、それがスランプの原因と思い込んだ彼は、密かにプリモに接近してナイフで刺殺する。
ボビーはライバルが消えたことを契機に、スランプから脱出した。
ボビーをつけ回していたギルは、ボビーの海辺の家で、溺れていた彼の息子ショーンを助ける。ボビーは命の恩人のギルを家に招くが、彼の言動にはおかしなことが目立つ。
その異常性に気づいた時、既にショーンはギルに誘拐されていた。
ギルはボビーにショーンの解放の条件として「俺のためにホームランを打ってくれ。さもなくば息子は殺す」と言う。
ロバート・デ・ニーロが、頑固者で野球に人一倍思い入れがあって家庭にも居場所をなくしているので贔屓の選手に夢を賭けているあまりストーカーと化する主人公を演じています。
野球というアメリカ人が愛するスポーツの裏側を描いている内幕物であり、自分の希望する背番号を得るためにライバル選手に大金を払ったり仁義なきポジション争いの様子を赤裸々に描いている変わったサイコスリラー映画です。
ロバート・デ・ニーロが演じている主人公は独りよがりな思い込みに取り憑かれている不器用な男で不気味さと悲しみも含めて演じていて、さすがです。
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