けー

ザ・ファンのけーのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・ファン(1996年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ザ・刃物営業マンなロバート・デ・ニーロ。

キャスティング自体がトニー・スコット監督流のユーモアだったんじゃないんだろうかと思えてくるぐらい刃物の営業マンやってるロバート・デ・ニーロの凄みが!!!😅

ロバート・デ・ニーロの凄さっていうのを今回痛感いたしました。

なんだろう。前回の「ボーイ・スカウト」の時も思ったのだけれども、トニー・スコット監督って俳優を美しく撮る手腕がすごいなって感じた。

美しく撮るっていうか、その俳優を魅力的に見せている要因になっているのだろうその俳優の内側から出ている目に見えない何かというか瞬間をカメラに収めるのが上手いというか。
監督の手にかかるともれなく魅力的に見えるというか、「ボーイ・スカウト」でブルース・ウィルスの時にも感じたのだけれども、なんというか「ああこの人がいい俳優さんであるわけがわかった」って理屈抜きで思わされる一瞬みたいなのがあって、その時のかおり立つような色気とでもいうんだろうか。

今回、こんなにイっちゃってる人物を演じているのになんというかロバート・デ・ニーロの内側から滲みでるものにはっとさせられる瞬間が何度もあって。

それは相手役であるウェズリー・スナイプスにも言えて、この人の華やかさから繊細さまでしっかり画面に映しだされていて、理屈抜きで「わぁかっこいい」とか「この人綺麗だなぁ」という具合に目を奪われる瞬間が何度もあるというか。


いやでも全部持っていたのはロバート・デ・ニーロが刃物の営業マンやってるってところで。 

ロバート・デ・ニーロはジャイアンツの”ヤバすぎるファン”でもあって、彼は”本来自分があるべき姿”をウェズリー・スナイプ演じるメジャーリーガーのスター選手ボビー・レイバーンと重ねているーというところでどんどん偏執的になっていくというか、もとより偏執的な要素があったところをボビー・レイバーンとの遭遇で一気に加速させてしまったというか。


自分もイタいファンであり、コレクターな面もあるので、なんというかこういう熱狂ファンが対象相手をストーキングし、追い詰めていく的流れはやや落ち着かないというか居心地の悪い気持ちがしないでもないのだけれども😅

団子状態にガチャンコしてしまうカーチェイス以外はトニー・スコット監督の大好きアイテムが漏れなく画面に収められていたかなと。

走行電車、橋、シルエット、ドッカーンと炎上。 

目まぐるしいカットバックを繰り返しながらまるでサブリミナルのように見る側に必要であろう情報を入れ込んでくる。

野球と刃物はギルにとって自分の父親との絆の象徴になっていて。ギルは結局父親の期待に全く応えることのできなかった自分を正視することに耐えられなくて、どんどんファンタジーの中に逃げ込んでいったのかなぁというのは思うけれども、でもそのあたりの物語なんてもうどうでもいいやとなるぐらいロバート・デ・ニーロに刃物を持たせるとどえらいことになるっていうところがもうそこがなんだか。


なんだろうか。



笑えるし、怖いし、でも笑えるし、やっぱり怖いしーみたいな、なんか説明できないや。



気持ちは完全にボビーの味方なので、もうどうにかギルから逃げてくれーという思いでいっぱいだったし、最後の最後までボリーを応援していましたが、エンドクレジットフが流れ出した時にはボーゼンと”ロバート・デニーロすげぇ...."ってため息ついておりました。


あ、そういえばエンドクレジットにかかった曲の歌詞が「自分を解き放ちー♪」という感じで、「いやこんな風に解き放ったらあかんやろ」というなんともかんとも。



 
けー

けー