LalaーMukuーMerry

パリ20区、僕たちのクラスのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

パリ20区、僕たちのクラス(2008年製作の映画)
3.5
ジャケの写真とタイトルから、まとまりのあるクラスのちょっといい話、を想像してましたが、まったく裏切られた。

パリ20区の中学校の第3学年(フランスの教育制度は5・4・3制なので、日本の中2相当)のあるクラスの1年間の出来事を淡々と描いた作品。こんな取り組みをして成果があったといったポジティブメッセージではなく、こんな問題がありますというような問題提起の視線でもなく、ただただ日常をありのままに描いたもの(NHKの「中学生日記」はもっとテーマ絞ってたよな)。ドキュメンタリーを見ているような感覚。でもこれ、演技なんだよね、意図してこういう作品にしている。これがフランスの教育現場のリアルな姿だということですかね。

フランスの中学生は、遠慮はしてるんだろうけど日本に比べれば先生にズケズケものを言う、シュリンクする子が少ないといった印象。それに日本と違って肌の色や、宗教が違う子が普通にいて、お金や親の教育熱心さだけじゃない根本的な価値観の違いがある、フランスの先生も大変だなと、私は思ったけど、向こうじゃ当たり前なのかもしれない。親子面談で北アフリカの言葉しか話せない親が来て、その子がフランス語に通訳して先生に伝える…。やる気のない生徒、問題生徒は世界中どこも同じようにいる…。こんな中でも「いじめ」はあるんだろうか?

フランスの先生は、日本の先生のように雑務に振り回されてる感はなかったですね。

気になったのは、素行の悪い生徒を退学処分にするかどうかを決定する懲罰委員会という恐ろしい機関があること。

いろいろ興味深かったけれど、うーん…、そんな作品。