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パリ20区、僕たちのクラスのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

パリ20区、僕たちのクラス(2008年製作の映画)
1.5
[似非ワイズマン・モキュメンタリー] 30点

2008年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品、パルムドール受賞作品。フランス映画としては1987年の『悪魔の陽の下に』以来21年ぶりの受賞。外国人の多く住むパリ20区の高校でフランス語を教える若き教師フランソワの1年を描いている。雰囲気はマリア・シュペト『Mr. Bachmann and His Class』に似ているが、本作品はドキュメンタリーではないようだ。この二作とも生徒たちの年齢はほぼ同じくらいのはずだが、場所の違いなのか、授業風景はほぼカオスに近い。生徒たちは質問という名の難癖をつけて授業を遅延させ、注意されてれても周りの生徒との話を止めず、勝手に喧嘩を始めるなど、さながら動物園のようだ(ほぼ同じことを作中で別の教師が言ってる)。『Mr. Bachmann...』はカメラの存在で生徒たちを借りてきた猫みたいにしてしまったんだろうかと思えるほど、本作品の生徒たちは様々な問題を抱えていて、それを他人とぶつけ合う。ただ、テーマが色々ありすぎてぶつけ合うだけ終わってしまい、"これが現実だ!"みたいな感じになってるのがなんかヤだった。モキュメンタリーでこんなの撮るくらいならドキュメンタリーとしてギリギリのラインを攻めていただきたいですね。それでも本作品における教師たちの会議は面白い。生徒たちに"仏の顔"ポイントをあげて、なんか違反したら減点しよう→それなら良いことをしたら加点しよう→めっちゃ点数貯めてドカンとヤバいことするやつが出るのでは?など。全体的に距離感を間違えたワイズマンみたいな感じだった。あまりのつまらなさに、見えない誰かに向かって"倍速で観ていいですか"と訊いてしまった。劇場で観てたら途中で出てたと思う。

よくよく調べてみると、主演のフランソワ・ベゴドーが自身の教師体験を脚本にしたらしい。教師も人間なんだぜ的な生徒との言い争いで、自分だけ保身に走ってる感じが非常にグロテスクだったのはそういうことだったのか。
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