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キッドのろのレビュー・感想・評価

キッド(1921年製作の映画)
5.0
昨日、京都国際映画祭2016へ行ってきました!

西本願寺会場で無料上映された『キッド』!
チャップリン映画をお寺で鑑賞するなんて初めての体験でドキドキ!普段 仏前婚などが行われる場所にずらっと椅子が並び、プロジェクターが設置されているという何とも異様な空間で、お香の香りに包まれながら鑑賞しました♪上映前には本尊に向かって合掌( ˘ω˘ )一瞬「あれ、私は今日法事に来たのかな・・・?」と思ってしまうような不思議な空気感(笑)とても新鮮でした(*^_^*)



〈あらすじ〉
病院を出た女性は生まれたばかりの赤ちゃんを車に置き去りにする。捨てられた赤ちゃんを見つけた放浪者。彼はその赤ちゃんを自分の子どもとして育てていく。


何といってもジョンを演じたジャッキークーガン!
ナイフとフォークを持ち、食事を待つジョン。
ホットケーキを作るジョン。
女優を見てはにかむジョン。
もうとにかく可愛い!!!
特にホットケーキを食べる場面。
ホットケーキに塗るチョコレートをナイフですくって舐めているジョンにチャップリンが一言。「ナイフは刃がついていて危ない面と安全な面があるでしょ?だからナイフを舐めるときは安全な面を使わないとダメだよ」ものすごくほっこりしました~(*´ω`*)


近所の男の子におもちゃを取られたジョン。
喧嘩を挑みます。ジョンの方が小柄なのにすばしっこくて強い!相手の男の子を泣かしてしまいます。そこになんだか強そうなお兄ちゃん登場!ジョンの保護者であるチャップリンはビビります(笑)さらにお兄ちゃんが言ってくる。「俺の弟が負けたら俺があんたをぶちのめすから」ジョンを応援していたチャップリンですが、自分が巻き込まれるのは勘弁してほしい。ジョンの方が優勢だったのに、彼の顔を足で踏みつけて無理やり負けさせちゃう(笑)
この場面では会場が大盛り上がり。やっぱりチャップリン映画を大勢の人と観るのは楽しいな~(*^^*)


うたた寝をするチャップリンが見る夢。
天使の世界に悪魔が侵入してきて、「誘惑」「焼きもち」などの感情を吹き込むと・・・。
少し哲学的で印象的でした。そして、面白い演出!犬もチャップリンも空を飛ぶ!笑


チャップリン初長編監督作。
とても素敵な映画で大好きな作品がまた増えました(^^)/



〈アフタートーク〉
日本チャップリン協会会長 大野裕之さんによる解説とともにチャップリンのNGテイクを鑑賞。
『街の灯』幻のオープニング、世界初公開フィルム(ボウリング)、『殺人狂時代』電話帳をめくるシーンNGテイク、撮影現場のチャップリンの映像(ホームビデオ)を観ました。どれも新鮮で、チャップリンの完璧主義が垣間見える映像ばかり。本当にこだわりが強く、熱意に溢れる監督だったのだなぁと思います。

初公開のボウリングシーンは専門家の間でもどの作品の場面なのか、あるいは新作なのか、分からないそう。そのシーンには演技の上手い犬が登場します。「一体どうやってあんなに上手く演技をさせたんでしょう?」という司会者の問いに対する大野さんの言葉が印象的。
「私はサイレント映画という言い方が好きじゃない。スタッフがあれこれと指示を出しながら撮っていたんだ。あの犬にも『行け!』とか指示を出していたんだと思うよ。現場はいつも賑やかで、今の映画の撮影現場よりも活気があったはず。だから僕はサイレント映画じゃなく”にぎやかし映画”と呼びたいんです」

それから、チャップリンの幼少期について。
彼の家庭は貧しく、いつも空腹だった。そんな彼がどうやって飢えをしのいだか。それは母のジョーク。道行く人を見て「あの人はすました顔をして歩いているけれど、本当は靴下に穴が開いているの」そんな母にチャップリンは救われていた。大野さんの「人間には衣食住が必須だけれど、それに加えて”笑い”も欠かすことの出来ないもの。生きる上ですごく大事なものだ」という言葉には思わず頷いてしまう。


チャップリンの魅力を存分に味わえたアフタートーク。
充実した時間を過ごせました♫
ろ