Yoko

カルメン故郷に帰るのYokoのレビュー・感想・評価

カルメン故郷に帰る(1951年製作の映画)
3.0
 東京でストリッパーとして働いている”おきん”こと”リリィ・カルメン”が故郷である浅間山麓の村に顔を出しに帰ってくる話。

 ストリップを「芸術」と言って憚らない快活なカルメンたちと、下衆な目でそれを買う男たちの構図が綺麗に嵌っている。
盲目教師の妻”光子”の健気さといい、この物語は「女」が主役だった。
 明るい作風に対して短調の主題曲も印象的。
戦地で目を失った教師が弾くこの曲には、戦時中の後を引く陰鬱な名残を感じる。

 日本初のカラー映画として制作された今作の撮影対象として、黒々とした浅間山、鮮緑の草原、そして華やかな彩り(あわよくば男たちの色情を沸かす)を備えているカルメンを選択したことに、「多色」を初めて扱う上で慎重な選択だったであろう事情を察する。
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