普通にコメディとしても観られるけれど、キャラ設定がけっこう意地悪いというか、あらゆる方面を皮肉っていてびっくりした。それでも清々しさが勝つから不思議な映画だった。
実際はストリッパーなのに新進芸術家だと思い込んでいるカルメンたち、彼女らで一山当てようとする興行師、昔から頭がゆるい子だったと終始恥じ入る父親、そうだけど素直ないい子だと味方になる姉、様々なことに理解があるようでいて凝り固まった教育しかできない校長、それに担がれる形になる盲目の元音楽教師、とキャラもすごいし、北軽井沢という山間部のロケーションもすごく良かった。
カルメンたちが山の上で見せる狂騒シーンでも、校長が詩吟を読むシーンでも馬が寄ってくるところが印象的だった。どちらも、どんな立場でも等しく原始的な行為をしているのだという示唆に思えた。
これを観たのはフィルムセンターの映画を4本ずつパックにして巡回する企画が群馬県富岡市で催されたときで、客層は高齢者ばかり。それゆえ北軽井沢駅の駅舎が映ったときなどに歓声が上がって楽しく観られた。