みおこし

カルメン故郷に帰るのみおこしのレビュー・感想・評価

カルメン故郷に帰る(1951年製作の映画)
3.6
戦後日本初のカラーフィルムとしても名高い高峰秀子さんの代表作の一本。

上州北軽井沢の浅間山のふもとの村で育ったおきん。家出をして東京に行ってしまうが、ある日、リリィ・カルメンという芸名に変わった状態で、同僚のストリッパーであるマヤ朱美を連れて故郷へ錦を飾りに帰ってくるのだが...。

とにかく高峰秀子さんが可愛い!物憂げな印象のか弱い女性から、こんな風にあっけらかんとした派手メイクの女の子まで演じ分けられるのは、さすが日本映画を代表する彼女だからだな、と...!
どんなにちょっとセクシーなダンスをしたり、ケバい衣装を着たり、言葉遣いもあまり品がなくても、どこか高貴で純真なイメージが強いのは、高峰さんご本人がお持ちのお人柄あってこそですね。むしろ何をやっても可愛くて仕方ない!(笑)

片田舎の街に、突然やってきたストリッパーの二人組に、住人はみんな驚きの色を隠せない一方で、興味津々。おきんの家族も変わり果てた娘に開いた口がふさがらないけれど、とはいえ親と子に変わりなし。カルメンとマヤの二人のブッ飛んだ行動にたくさん笑わせてもらったあとは、少し心温まる展開になるのがまた良かったです。
校長先生役の笠智衆さんもさすがの存在感で、カルメンたちに翻弄されてあたふたしている姿に癒されました(笑)。

何か深いテーマがあるかと言われると一見分かりづらいけれど(笑)軽井沢を舞台にした郷愁溢れる世界観の中に、新しいものを受け入れる心というか体制の大切さのようなものも垣間見えた気がしました。
ラストの電車のシーンもすごくノスタルジックで好き!
カルメンたちの衣装のカラフルさと、村人たちの地味な服装のコントラストもまた良くて、カラー映画ならではの色あざやかな視覚効果に思わず唸りました。
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