病的なシンメトリーの世界で展開される格調高い狂気。登場人物が軒並みサイコパスだというとんでもないフィルムであるが、狂気とは論理が破綻しているのではなく、我々が常識と呼ぶものとは異なる論理体系なのだということを感じさせられる。この世界ではシンメトリーであることが尊い反面、「シンメトリーが失われる」腐敗への妄執がストーリーを形づくっているのも面白い。
原題のA zed and two noughtsとはそういうことだったのかと合点がいった。
グロ映像多めなので、苦手な人は観ないことをおすすめする。
マイケルナイマンの音楽は素晴らしいのだが、世代的に料理の鉄人と切り離すことができないのです。