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7月4日に生まれてのQMのレビュー・感想・評価

7月4日に生まれて(1989年製作の映画)
4.0
US製作のベトナム戦争映画に苦手意識がありなかなか見れなかったが、オリバーストーンの面白いドキュメンタリーをみたので。
日本では戦争経験のある人が超高齢化し大分減ってきてるがアメリカでベトナム戦争経験者は結構若く傷跡はまだ目に見える状態で社会の中にあるというのは意外と日本にいると実感しづらい。何かでTVで徴兵くじが放送され誕生日が当たってしまうと戦地へいかなければならないというシーンを見て「反戦運動を背に嫌々戦地に行くアメリカの若者たち」を想像してたので、志願兵として戦地へ行き負傷して帰還兵となった人達のマインドには想像を働かせたことはなかった。国のために戦って命からがら帰ってきたら社会の価値観ががらっと変わっている中で、自分の犯した罪と失った身体的自由に苦しみながら生きる主人公。
以前誰かの講演で現代の日本の家庭内の問題は大戦の影響が大きいと言ってる人がいてその時はややジャンプが大きいように感じたが、戦争での経験から酒やドラッグに依存しDV等が起こると以降そのファミリーツリーで連鎖的に続いてしまい貧困に結びつき、、というのは確かに想像できる。そういう意味で戦争は勝敗がついて終わりではない。むしろその先の社会への影響は経済くらいしか計りようがないところが恐ろしい。とても良い映画なのに心が晴れる感じがないのは、こういう時代を経ても、世界で誰も追随できないほど圧倒的な軍事費にまで膨張させ続けているアメリカってなんなんだと、本作のサクセスストーリー的なラストはちょっとなぁと思った。
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