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くるみ割り人形のピッコロのレビュー・感想・評価

くるみ割り人形(1979年製作の映画)
4.0
ちょっと怖い「くるみ割り人形」🌰🐀🌹

サンリオ製作の人形アニメーション映画。
サンリオだから、可愛い"お人形たん"がたくさん登場するかと思いきやそうではない。むしろ、怖い"お人形たん"勢ぞろいである。
中でも、ネズミ軍団は、怖すぎて小さい子供が観たら多分泣いてしまう。
子供向けアニメなのに、たまに怖いシーンが登場するのはどういう意図があるんだろうか?可愛らしい恐怖なら、まだ分かるけど、ここまで怖いと何か意味があるんじゃないかと思ってしまう。
この世界(人間)の怖さは、こんなものじゃないから、今のうちに慣れときなさいってことなのかな?考えすぎ?

さて、「くるみ割り人形」3作品連続で観ましたが、これが一番面白かったです。3作とも物語が違うので、どれが本物のお話なのかは分かりませんが、自分は本作のお話が一番素敵だったし、良かったと思います。

前半は、前述したとおりホラーというかミステリー映画のような雰囲気。
映像も少し古臭いんですが、これがいい感じになってて好きな世界観。
何故か、市川崑版の金田一を連想してしまいました。
音楽とか雰囲気が似てたんだけど、多分自分だけだと思います。

この映画、結構めちゃくちゃな展開が続く。
まずは、お姫様の呪いを解くために世界中の人々を集めて会議をするんですが、この会議がやりたい放題で面白い。
ほとんどアドリブなんじゃないのか。と思うほど全然関係ないことをそれぞれが喋っていく。
キャラと声が合ってないのが何人かいたりとかなりのカオス。
きっと台本に、ここは自由にして下さいと書いてたに違いない。

そしてネズミ軍団とブリキ軍団のはちゃめちゃ戦争もカオス。
もう、ドッカン、バッタン、あれよ、これよとお祭り騒ぎ。
もう好きにしてーーー。

本作のくるみ割り人形は出っ歯の間抜け面。
全然、可愛くない!
持ち主のおじさんも。こんなのどこが可愛いの?という始末。
だけど、クララだけは愛してくれる。変わってるね。

だけど、人間になるとあら不思議。ベルサイユのばらに大変身。
えっ?変わりすぎじゃん?出っ歯どこいった?
そんなベルバラクルミ野郎にクララはウットリ。
結局、顔なのね。

人形Verもイケメンだったらお姫様に捨てられる事はなかっただろうに。

ということで、かなりめちゃくちゃな映画と思いきや、
このお話が凄く切ない。
ほんとの愛って何だろう?
くるみ割り人形とクララの恋物語。

夢の世界がすごく綺麗で印象的。
ちゃっかりキティちゃんを出してくるサンリオのあざとさにガッカリ。
でも、そんな事どうでもいいや。と思うほどこのシーンは、キラキラ輝いていた。

あぁ、自然と涙がこぼれおちてくる。
愛って美しいね。

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