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レイヤー・ケーキのgarura07のレビュー・感想・評価

レイヤー・ケーキ(2004年製作の映画)
3.5
裏社会の沼から抜け出せない男を「カジノロワイヤル」以前のダニエル・クレイグが演じ、後に「キックアス」「キングスマン」を撮るマシュー・ボーンが監督デビューを飾っている。
渋めのキャスト陣(若き日のトム・ハーディーもいるよ)で贈る本作は意外にもオフビートな仕上がりとなっている。ダニエル・クレイグが裏社会に対してドライかつクールなスタンスを貫き、見た目も様になっているのにどこか情けない男を好演。その他もどこか人間臭いキャラクターが多く、分かりやすいハードボイルドさを求めると肩透かしを食らうだろうし、かといってコメディに寄り過ぎずの一歩引いた絶妙なバランス感覚が本作の持ち味。上に振り回される様はブラック企業に通ずるものとも見れるし、あるいは「仁義なき戦い」の系譜とも言える。結末の冷酷さは好き嫌いが別れると思うが、前述したように一歩引いた演出のおかげで納得度は高い。 但し作品のペースを掴むまではやや鈍重に感じてしまった(特に序盤)。 本作を踏まえれば「ゴールデンサークル」の壊しっぷりが作家性の表れであったと合点がいく…かも。
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