品川巻

ふたりの人魚の品川巻のレビュー・感想・評価

ふたりの人魚(2000年製作の映画)
5.0
なんで、いくつになっても人魚ってこんなにワクワクするんだろう、、🧜‍♀️
映像、キャラクター、内容全部ツボ。ウォン・カーウァイ好きにおすすめ。

青いアイシャドウ、金髪のウィッグ、テロテロのエナメルスカート、ドブ川、下品なピンクのネオン、手持ちカメラの酔い、赤いレザージャケット、水槽の中のエメラルドブルー、埃っぽい街、泡沫。実際に眩暈がしそうなほど揺れる画面を観ながら、ストーリーテラーの「僕」と一緒に、視聴者もマーメイドの寓話の中に吸い込まれていく。

「ここで物語を終わらせるかは彼次第」と言いながら、一回暗転になりかけてから明るくなったり、「目を閉じて」と言った瞬間に真っ暗になったり、映像とナレーションのリンクが心地よい。
自分は利用されただけだと知った時の、ムーダンの屈辱と失恋と憤怒の混ざった恐ろしい目を長回しで流す、あのカットが忘れられない。

女を愛してるから探し続けるマーダーのおとぎ話を、女を愛してるかもしれないけど探さない、ふわふわと漂流した「僕」が語るからこそ、第三者であるストーリーテラーを全うできたのかも。

2人で長くいられるようにバイクで遠回りをせがんだり、追い返せないように酒瓶をラッパ飲みしたりーー。他の女子がやったら地雷になりそうな行為や言動も、ツインテールのムーダンの無垢さを目の前にすると全てが許せてしまうし、幼気なのに艶やかに見える。

「愛してるなら探して」っていう最後の挑発は、ムーダンを通してでしか自分を見てくれなかったマーダーが、本当にムーダンと(死で)結ばれたことへの仄かな憧れもあったのかな。
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