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人生劇場 飛車角のshibamikeのネタバレレビュー・内容・結末

人生劇場 飛車角(1963年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

全国高等学校任侠選手権大会という夏の任侠甲子園があったとしたら、出場者は本作主人公の鶴田浩二演じる"飛車角"ただ一人であらう。
それくらいスポーツマンシップもといニンキョウマンシップに則った正々堂々としたヤクザ。人の家に上がる時は手拭いで足を素早く拭い、コップの水を飲むときも片手はコップの底に手を添える!

ナイスヤクザなのであるが、非常にわかりやすい。「義理を立てる、男を立てる」と、とにかく"立てる立てる"と騒がしい。立てるのはもっぱら股関専門の任侠下半身の自分としては、肩で風切って歩く飛車角君が羨ましい(誰がEDやねん!)。"飛車・角"というと将棋の非常に強力な駒である。間違いなく"歩"の自分もせめていつかは"ト金"に…とか思うけれど、一生"歩"でいること濃厚な気配。

物語の概要は、お世話になった小金(こきん)組のピンチを救うため、飛車角が敵対する組の大将を殺し、その後自首。5年間のムショ暮らしが始まる。
シャバの方では飛車角と愛の契りを交わした元遊女「オトヨ」が飛車角をずっと待っており、飛車角はオトヨに会いてえ!と思いながら、独房にゴロンとしている。
相思相愛の飛車角とオトヨであったが、「これじゃ映画になんないよ!」と言わないばかりに物語にトラブルが起こる。飛車角の後輩にあたる男でミヤガワ(高倉健)がいるのであるが、飛車角がムショ暮らししている間にこのミヤガワとオトヨがデキテしまう。飛車角どうするよ!ということで飛車角と我々がヤキモキするという映画。
「何や、ヤクザ映画やのに恋愛ものかいな、アホくさ。」と早々に鋭く毒づくミヤコ蝶々がいたとしたら、待って欲しい。やはりヒットしたヤクザ映画だけあって、終盤に男一匹殴り込みのハイライトもある。というかそこで終わる。飛車角が小金組の仇を討つため、単身で敵の組に乗り込むのであるが、「これからどうなるの!」という所で映画は終わる。「不完全燃焼映画だ…」と自分は明るくなった劇場で苦笑いしたのであるが、ネットで他の人のレビューを見ていると「渋い終わり方」という意見を多く見かけ、「そういう見方もあるのか、なるほど」と思った。

それはさておき、この映画高倉健が間男である。高倉健も間男とかするんだ!と驚きたいところであるが、ちょっと違う。先輩である飛車角のナオンと知らずにオトヨに手を出したのであった。で、結局オトヨに惚れてからは誠実な男といういつもの健さん。とは言うもののミヤガワとオトヨが初めて愛しあった夜は自分には婦女暴行に見えたぜ😇翌朝のミヤガワのあっけらかんぶりもちょっと怖かったぜ。オトヨもオトヨだよ!

あとは飛車角が惚れ込む「とっつあん」という隠居さんが活躍するのだが、確かにカッコ良かった。月形龍之介という俳優らしいが、忠臣蔵の吉良の人じゃん!冒頭の警察を口で言いくるめるとことか惚れ惚れ。梅宮辰夫って出てた?

小金組に義理を感じる飛車角。自分もこれからは股関組の鉄砲玉として渡世していこうと思う。

ちなみにラピュタ阿佐ヶ谷の2階男性トイレには目を疑うほど小さな小便器がある(小さい上に細い)。本当に小さい。初めて見た時は小便器と認識できず、数回見かけたくらいで「ひょっとして、これって便器…?」とおっかなびっくり陰茎をぶちこんだ。
はっきり言って自分のブツの大きさではこのミクロ小便器には収まらず、「これも因果か…」と小便で床をびちゃびちゃにして、劇場を去った。阿佐ヶ谷の夜はこれからである。
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