風の旅人

アニー・ホールの風の旅人のレビュー・感想・評価

アニー・ホール(1977年製作の映画)
3.5
冒頭から第四の壁を軽々と飛び越え、驚くほど自由な語りが展開される。
字幕での内面描写、通行人との会話、幽体離脱、画面二分割による両者の比較、アニメーションなど、見るべき演出は多い。
アルビー(ウディ・アレン)は死の観念に取り憑かれ、「人生は悲惨とみじめの二つしかない」というペシミスティックな人生観の持ち主(しかし自殺願望のあるデュエインの車に同乗した際には、顔が引き攣っていた)。
おまけに映画館で上映が始まって二分過ぎただけで入るのをやめるほど神経質。
そんな自意識過剰気味の主人公が休む間もなく喋りつづけ、皮肉を飛ばす。
まるで止まったら死んでしまう魚のように。
アニー・ホール(ダイアン・キートン)のようなお洒落な女の子が、どうしてアルビーのような面倒臭い男に惹かれたのか謎だった。
男と女の関係は「およそ非理性的で不合理なことばかり」。
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