ほーりー

アニー・ホールのほーりーのレビュー・感想・評価

アニー・ホール(1977年製作の映画)
3.5
非理性的で不合理な男と女の関係について、ウディ・アレンが(文字通り)シニカルな語り口で切っていく作品。

コメディでもなく、ドラマでもなく、全編ウディ・アレンの漫談という雰囲気で、映画評論家ロジャー・イーバートは「おそらく誰もが好きなウディ・アレン映画だ」と賞したそうだけど、個人的には「おそらく好き嫌いがはっきりわかれるウディ・アレン映画だ」と思う。

偏屈なユダヤ系コメディアンと歌手志望の女性アニー・ホールとの、くっついたり離れたりの奇妙な恋愛関係が赤裸々に語られる。

劇中、アレンが突然「第四の壁」をすっ飛ばして観客側に語ってきたり、主人公の考えていることが字幕で出たり、過去のエピソードに現在のアレンたちが突然現れたり等、何となく落語の地噺を彷彿させる形式に感じた。

※地噺は、登場人物の対話によらず、演者が聴衆に状況や心理の説明を行いつつ、筋を進行させる形式(大辞林 第三版より)

最後、悲劇でもない、ハッピーエンドでもない終わり方が実に良く、「世の中、所詮こんなもんです」という感じ。

そして忘れちゃいけないのが、本作のヒロインの存在!

アニー・ホール演じるダイアン・キートンは、本作でアカデミー主演女優賞を獲得しているが、役柄とのシンクロ率が高いのはモチロン、なんと言っても当時話題になっただけあってあの洗練されたファッションセンスが大きな要因になっていると思う。

いつも感じることだけど、「ゴッドファーザー」でのアル・パチーノの奥さん役と同じ女優が演じてるとは思えないんですよね。

■映画 DATA==========================
監督:ウディ・アレン
脚本:ウディ・アレン/マーシャル・ブリックマン
製作:チャールズ・H・ジョフィ/ジャック・ローリンズ
撮影:ゴードン・ウィリス
公開:1977年4月20日(米)/1978年1月21日(日)
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