うちだ

アニー・ホールのうちだのレビュー・感想・評価

アニー・ホール(1977年製作の映画)
3.7
『男女の関係はおよそ非理性的で不合理なことばかり。それでも付き合うのは卵が欲しいから。
ーーーーーアルビー・シンガー(ウディ・アレン)』

最近、BEAMSがラルフローレンとのコラボで「アニーホール」モデルのチノを出していた。それを見てたら久々に見返したくなったので。

本作は、NYに住む男アルビー・シンガーが、タイトルにもなっている「アニー・ホール」という名前の女性と出会ってから恋に落ち別れるまでを、ウディアレン流の都会的な会話と皮肉が混じったジョークで送るラブコメディである。

アルビーは典型的なユダヤ人。知識人かつ皮肉屋で人生を悲惨で惨めなものと考えている。対してアニーは女優兼歌手の明るい女性。誰にでも好かれる性格で、新しいものを受け入れる器量の大きさを持つ。この一見全く合わなそうな2人はかつては愛を囁く仲だったが、時と共に徐々にすれ違いを見せていく。
個人的に全編を通して好きなのはアルビーの空回り感。『500日のサマー』にも大きな影響を与えている、「自分は正しいと思ってやったことが相手には迷惑でしかない」という男特有の勝手な思い込みは、男性であればあまり思い出したくない心当たりの一つや二つもあるのではないだろうか。

そして本作といえば外せないのがアニーのファッション。白のオックスフォードにネクタイと黒のベスト、そしてワイドのチノパンという今見ても先進的なアニーのスタイルは、「アニー・ホール・ルック」として当時多くの女性に真似され、公開から40年以上経つ今でも多くのファッションに影響を与えている。アニーのスタイルは、本人すらジャケットスタイルのアイコンになっているウディ・アレンをして「彼女は天才だからスタイリストを使う必要はない。」と言わしめたほど。そんなアニーを見ていると、自分までお洒落になったような勘違いをして、ベランダでワインが飲みたくなる。ある意味、危険な映画である。
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