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東京裁判のtanziのレビュー・感想・評価

東京裁判(1983年製作の映画)
4.5
ユーロスペースで午前11時上映、日に1回。満席で立ち見も10人以上。4時間37分皆さん大丈夫だったでしょうか。

想像の100倍以上面白くて驚きました。前半から大川周明の東條英機頭ペシッ!事件がフィルムで残っており「ツカミはオッケー!」だったのに仰天した。映画終わってすぐ大川周明を検索したのは私だけじゃないよね。

とにかく名前しか知らない戦犯達がフィルムの中で動き喋っている、ということへの湧き上がるある種の高揚感がすごい。

内容も非常に多角的にこの裁判を捉えていて、A戦犯を裁くという単純なものに留まっていないのが感じられた。特に、それぞれの国の判事が「世界の警察」アメリカに対し複雑な心境、もしくは反感を持っていたことが如実にわかる。
そして当然日本人被告人の弁護を担当したアメリカ人弁護士もアメリカに対し容赦ない。これについては心情というより弁護士というプロフェッショナルな仕事として自分は受け取りました。

学校でまったく教えてもらわないと評判の日本近代史にまで迫った力作。なにしろ日露戦争まで遡ります。

だから4時間37分なのです。機会があれば是非ご覧いただきたい。できたら映画館がよろしいかと。佐藤慶のナレーションと武満徹の音楽がいい。

この場で裁かれなくてはいけなかった人間は他にも沢山いる。思うことはいつも同じ。戦争なんかロクなもんじゃない。
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