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ひきしおのrsのレビュー・感想・評価

ひきしお(1972年製作の映画)
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絹のドレスを纏った女の肌に、唇を滑らせる。女神を見るような眼差し。魔法にかかったようだよ、と男は囁く。
手綱を握る男の手に、舌を這わせる。見上げる瞳は主人に忠実な飼い犬のよう。女は言葉を手放した。

愛犬の死を境に逆転したふたりの関係性。否、男は女を所有し、女は男を独占する。逆転ではなく、対等になったのか。
それが互いの望みなら、首輪で繋がれる愛の形があったっていい。首元の苦しみも、跪く膝の痛みも、いっそ心地良い。

引く潮はふたりの暮らす島を孤独にすれども、押し寄せる波は彼らを手放しはしない。この島でふたり生きていけないならば、飛ばぬ桃色の飛行機に乗って、世界のどこかへ旅立とう。
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