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男はつらいよ 旅と女と寅次郎のayaのレビュー・感想・評価

3.8
初めて寅さんをきちんと見た。
映画を見ない母親が寅さんは好きで「すぐ惚れてすぐ振られる」と笑って話していたことを思い出したし、誰かが「寅さんはわざと振られるんだよ」と話していたのも思い出した。
想像していた通りの人情話だったけど、テンポが良くてわかりやすくて、ある意味最高に計算し尽くされた作品なんだろうと思った。
そして、お涙頂戴のゲスい設定でなく、誰も悪い人が出てこない映画っていいなあ、と思った。
特にはるみちゃんが佐渡で見つかった時の社長の第一声が「ああああはるみちゃんよかった」と怒るよりも先に、自分のところのスターの安否を気遣ったところは、ぐっときた。言い訳したり責任を押し付けたりせずに「ボクが悪いんです」と言い張るぽんこつマネージャーもよかった。

現実に寅さんがいたら、あんまり働いていないし、世帯も持っていないし、まさに風天で世間様の風当たりは強いだろうな、と思う。
映画だから寅さんは憎めないな、と笑っていられるけど、こんな人が同僚にいたらブチ切れるとも思う。
でも、そんな自分に対して、楽しくやさしく問いかけてくれた映画だった。
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