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ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのRのレビュー・感想・評価

4.4
生きてる実感、これぞ人生だ! すばらしい! 爺さんらカッコよすぎ! 冒頭、ブエナビスタソシアルクラブという年寄りバンドがめちゃめちゃ渋いChan Chanという曲演奏を始め、コンパイセグンドという爺さんが出だしを歌うと、観客席から歓声と拍手、コーラスの爺さんがニコッと笑う、あの瞬間のカッコよさ!!! サイコーーー!!! って2回目に見たとき感じた。その後も、2回目はかなり楽しめた。が、1回目は正直退屈だった。まず、どんな内容なのか予備知識ゼロで見たので、そもそもブエナビスタソシアルクラブというのが、キューバの忘れ去られし老音楽家たちを探し集めて結成したバンドである、ということすら知らない、そうなると、20分くらいたつまで、んー、何の話? 誰この老人たち? ってなって全然楽しめない。で、ようやく、あ、みんなひとつのバンドのメンバーなんや、って。ボクの頭が悪いんかな? しかも映画の内容が、彼らがなんで音楽を始めたのか、そのきっかけと、音楽が彼らの人生にどんな風に影響したのか、みたいなのを、ひとりずつうすーく順番に喋ってるだけ。結構時間経っても、どれが誰だか判別できないし、んー😕 眠い…長い……結局1回目はいくつか思うことはあったけど、そのまま見終わった。翌日。いや。いうてもヴェンダース監督で、有名な作品やし、まったく面白くないなんてことはあるまいと思って、2回目見てみると……! おもしろい! 最初から話のテーマわかってて、一応最後まで見てるからどれがだれかそこそこ分かるし、その上で見るとおもしろい! 何がおもしろいって、たしかに、映画としての面白さかって言われたら違うのかもしれん。構成自体はさっき上で書いたとおりなので。でも、何だかひとりひとりの老人たちが、まったく老人に見えない。 みんなまるで少年のように無垢で純粋。そして音楽そのものを心の底から楽しんでいる。目がキラキラしてる。その姿の嬉しそうなこと! いちばん年の人って90くらいじゃなかったっけ? ぜんぜん老いてる感じがしない。なるほどー。こんな年のとり方がありえるのかー。もちろん、魚が生き返るには水が必要で、その水を与えたアメリカのプロデューサー、ライクーダーなにしには、彼らの多くが人生の輝きを取り戻すことなく、心も体も朽ち果ててしまっていたかもしれない。しかし、彼らはみなソウルの蘇生を果たし、人生の総仕上げを美事に飾ることができた。人生は、それを生きる当人にとっては、終わりの数年が最も重要で、人生の幸不幸はみなここで決まる、みたいなことをとある哲学書で読んだ。そう考えると、彼らは勝った。そして、幸運にも、その栄光の姿をこのように映画にしてもらえた。そのおかげで、私たちは、雄大な夕陽のように真っ赤に燃える人生晩年の輝きを、可能性のあるひとつの在り方として、こうして見ることができる。この映画を見られた人は幸運だ。心が若いことが真の若さだということをありありと見ることができるから。「肉体は老いても、精神の若い老人がおり、肉体は若くとも、感激、感動を失い、老いた心を持っている若者が大勢いる」と、こちらもとある哲学書に記してあったのを思い出した。しかし、平凡な生活を、淡々と、そしてしばしば悶々と虚しく生きる、才能のないマジョリティにとって、彼らの浴した幸運と栄光は大きすぎると言えないだろうか。いったい不運なる凡夫衆生は、どのような錦で人生の終末を飾ることができるのだろうか。何を目的として生き、死んでいくのか。燦然と輝く彼らの姿を見ながら思いを馳せていた。自分の命の使い方を自分で選ぶのってほんと重要だな、と。意識してないと、ただ生活するためだけに生活して、瞬く間にお爺さんになってしまう。まぁ重たい話はこれくらいにして、最後に個人的な好みを書いておきましょう、曲は断然チャンチャンが好い。最近一日一回は必ず聴いてる。聴いてないと落ち着かない。キサスキサスキサスもめちゃくちゃ好き。この曲いろんな映画で使われるよね、パッと思い出せるだけで、バッドエデュケーション、ブロークバックマウンテン、花様年華。あとバンドメンバーに、うわー、この人いいなぁ!って人が何人かいた。ただもう名前がわからなくなってしまったので、再度見ることがあったら、彼らの名前をここに書き残しておこうと思う。いやー、いい映画だった。気分がリフレッシュされた。レーティングは2回目のもの。1回目は正直2.5くらいやった笑
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