tjZero

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのtjZeroのレビュー・感想・評価

4.2
キューバの至宝たる、老練なミュージシャンたちにスポットを当てたドキュメンタリー。

キューバ危機の際のアメリカとキューバの関係って、現在の日本と北朝鮮に近いものがあったのかもしれません。

いつ暴発して、核ミサイルが飛んできてもおかしくない緊張感。

そんな国のミュージシャンたちが、(キューバ危機から年月は経ったとはいえ)N.Y.のカーネギーホールでコンサートを開くまでの実録映画。
フツーならあり得ない快挙。北朝鮮の楽団が、日本武道館で公演する様なものでしょう。
しかも、熱狂のスタンディング・オベーションに迎えられて。

そんなミラクルを引き起こした、キューバ音楽のチカラ。
哀愁とぬくもりがあって、洒脱で人懐っこい。
耳から入って来て、身体の内側からもみほぐしてくれるようなリラクゼーションを感じさせてくれます。

この映画は、忘れられかけた存在だったキューバ音楽のレジェンドたちに再び光を当てると同時に、製作当時若干スランプ気味だったヴィム・ヴェンダース監督のキャリアをもう一度引き上げる役割も果たした、意義のある作品です。
tjZero

tjZero