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四谷怪談のmitakosamaのレビュー・感想・評価

四谷怪談(1956年製作の映画)
3.4
新東宝の若山富三郎版の四谷怪談。かなりアレンジが効いてる。

花火大会から始まる斬新な展開。いきなり梅が伊右衛門にメロメロな所からの導入という、他に無い始まり方。
更に、梅の乳母お槇が伊右衛門の母親という設定!息子を梅の婿にする為に岩殺害をけしかける。

若山富三郎の伊右衛門が長谷川一夫にソックリ。目張りクッキリで話し方も芝居がかってる。基本は善人な所も長谷川版に似てる。

ので岩の父四谷左門を斬るのも、金の使い込みがバレたからでなく、挑発されたから。

岩は最初は元気。茶屋で働いてる。

卓越は盲目でなく、お袖も地獄茶屋に売られてない。直助権兵衛と佐藤与茂七のくだりもない。
直助は悪人だが、ただ伊右衛門にたかっているだけ。小仏小平も無し。

伊右衛門を善人にする場合は直助をメフィストフェレス役にするパターンが多いが、今作はお槇がその役を担う。かなり変わり種だね。
お歯黒を塗った悪いババアの気色悪いこと…。

そして、岩を裏切ってからの開き直った伊右衛門の悪さ。
そして岩が恨んで死んでからの怖いことよ。単純にメイクが凄い。ビジュアルだけで恐怖を感じる。伊右衛門が相当にビビりなのも良い。

全体的にアレンジが効いてるがシンプルで面白い。四谷怪談はバージョンごとの違いが本当に楽しめるわ。
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