Mikiyoshi1986

ハムレット・ゴーズ・ビジネスのMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

4.1
本日4月4日はフィンランド映画を牽引し続ける名匠アキ・カウリスマキ監督のお誕生日です!
アキちゃん、61歳おめでとう!

文豪ドストエフスキーの名著『罪と罰』を大胆脚色して監督デビューを果たしたカウリスマキは、
オリジナル作品を経て再び名著の映画化に乗り出します。
それがシェイクスピアの最高傑作『ハムレット』を下敷きにした『ハムレット・ゴーズ・ビジネス』

そのタイトル通り『ハムレット』を現代のビジネスシーンに置き換え、骨肉の財閥覇権ドラマを彼なりのカラーで描破!
神妙な面持ちでしっかり笑いを取りにくる彼のスタイルにはもちろん笑わされるわけですが、
本当に彼ほど"初志貫徹"の名に相応しい男もなかなかいないですよね。

ほぼ全編がミスリードで綴られ最後はしっかりプロレタリアートに帰結する点でも、彼のぶれぬ信念が際立つ寓話として一層の輝きを放つ本作。
ソ連の影響下で"フィンランド化"の時代を生きたカウリスマキはここにブルジョワ批判を込めただけでなく、倹しくも実直に生きる労働者にもしっかりとスポットを当ててくれるのです。

毒殺はどう実行するの?オフィーリアはどう入水するの?幽霊は?演劇は?決闘は?などなど、カウリスマキがあの復讐劇『ハムレット』をどう料理したのかも見処のひとつ。

たとえ引退宣言しようとも、彼ならきっとまた新作を引っ提げて我々を感激させてくれることでしょう。

キスシーンはカウリスマキ作品の中で断トツの多さを誇ります。
Mikiyoshi1986

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