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手紙のbutasuのネタバレレビュー・内容・結末

手紙(2006年製作の映画)
1.5

このレビューはネタバレを含みます

安いテレビドラマのような演出で、原作の持つ深みを全く活かしきれていない映画。なんでバンドからお笑いコンビに設定を変えたのだろう。重い話につまらないお笑いが入るのは鬱陶しかった。玉山鉄二はミスキャストだなぁ。不必要なイケメン感が完全にノイズ。もっと人の良さそうで冴えない役者にするべき。沢尻エリカも嘘くさい。あんな女が工場の食堂で働いているわけがないし、イチ工場員である山田孝之に熱烈なアプローチをするのも不自然。もうちょっと素朴な雰囲気の少女の方が良かったのではないか。

全体的に原作より主人公に寄り添った作りになっており、何というか「可哀想な主人公」感が強くなっているように思えてだいぶ辟易した。原作では、主人公も気の毒だけど周りがそういう言動をしてしまうのもわからなくはない、という絶妙なバランスになっていたのに。

ラスト、被害者遺族の前で主人公が号泣するのにはゲンナリしてしまったし、刑務所慰問での二人の対面シーンで流れ出した"感動的"な小田和正の歌にもゲンナリしてしまった。良い話、ハッピーエンド風に終わっていたが、原作は決してそんな後味じゃなかったと思う。申し訳無さから頭を上げられない兄と、あまりに複雑な心情から一声も発することが出来ない弟。そこでスパッと幕切れ、というこちらが震えてしまうようなラストシーンだったはずなのに。ガッカリだった。
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