鍋レモン

手紙の鍋レモンのレビュー・感想・評価

手紙(2006年製作の映画)
4.0
⚪概要とあらすじ
東野圭吾のロングセラー小説を映画化した社会派人間ドラマ。

直貴(山田孝之)の兄(玉山鉄二)は、弟の学費欲しさに盗みに入った屋敷で誤って人を殺し服役中だった。大学進学もあきらめ、工場で働く直貴の夢は幼なじみの祐輔(尾上寛之)とお笑いでプロになることだったが、毎月刑務所から届く兄の手紙が彼を現実に引き戻す。そんな彼を食堂で働く由美子(沢尻エリカ)が見ていて...。

⚪感想
「今の君の苦しみをひっくるめて君の兄さんの犯した罪なんだ」

小学生ぐらいの頃に観てボロボロ泣いた覚えはあったけど内容はほとんど忘れていたので鑑賞。
重い重い重い。辛い辛い辛い。泣く泣く泣く。

玉山鉄二さん演じる兄が殺人を犯したゆえ、人生を狂わされた山田孝之さん演じる弟の日々。兄は兄で弟のために大学費用とか思ってたわけだし、弟は全く悪くないのは100も承知だけれど、会長の言う通りでもある。沢尻エリカさんが演じる由美子はそこを受けいれ、弟に手を差し伸べてくれる素敵な人物だった。
どんなに努力しても隠してもそれがバレて差別されたら兄に当たりたくなるのも分かる。兄と弟の関係も破綻してないからより辛い。
加害者とその親族に共感したいけど、周りの気持ちも対応も分かるから辛い。
甘栗のくだりでなんかもう私のメンタルは崩れかけてたし、手紙を受け取ったり書いたりしてる時の兄の表情もそうだし、もうラストの方はもう涙がとまらなかった。

加害者とその親族の視点と心情、周りの対応の描写が痛い程伝わってくる。
そこに、山田孝之さん、玉山鉄二さん、沢尻エリカさんの繊細な演技力が素晴らしすぎる。それぞれの表情と沢尻エリカさんの関西弁もよかった。

この物語の繋がりは手紙で、タイトルの『手紙』そのもの。
東野圭吾さんって本当に色々な作品を書けるから凄い。この作品と『秘密』と『容疑者Xの献身』は同じくらい重かった。

ラストで泣かない方が無理。



⚪以下ネタバレ



ラストシーンで刑務所で漫才をする所はしんどすぎる。ネタが進み「お前の兄貴は、」とふられて、泣いている兄を見つけ、兄との思いを含んだ返しをし、兄は手を合わせながら泣き見つめる。
いやもうしんどすぎるからやめてくれー!!って思ってしまうぐらいリアリティがあって素晴らしすぎる映画だった。

吹石一恵さん演じる朝美はあの時何を言おうとしてたのか、本当はそれでも構わないからって言おうとしたんじゃって思ってしまう。でも大きな企業の父親が犯罪者の弟と娘が結婚するのは許さないだろうからどっちにしてもダメだったのかな。

⚪鑑賞
午後のロードショーで鑑賞。
鍋レモン

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