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キッスで殺せ!のryosukeのレビュー・感想・評価

キッスで殺せ!(1955年製作の映画)
4.6
本当に良い娯楽映画は無駄なシーンが一つもないということが良くわかる傑作。
イカした台詞、シャープな映像、キレッキレの演出、緊張感を高める効果的な音の使用と総合的な完成度が高い流石のアルドリッチ作品。
悪徳にも出ていたウェズリー・アディがかっこいい(実はこいつが黒幕なのではと思ったがハズれた)。
妙な口癖をもつ修理工の友達(ニック・デニス)が強烈。彼が死んでもイマイチへこんでるのかそうでないのか分からない主人公のクズっぷりはフィルムノワールの主人公だなあと思わせる。
人物の名前が多過ぎて若干こんがらがるがまあ雰囲気で理解できてればよい気もする。ロスアラモスやらマンハッタン計画というワードが登場し、放射性物質が出てくるのもだから何やねんという感じだし、主人公も手とは言えあんな思いっきり被爆して大丈夫なのかとか、雑に危険地帯行き過ぎだし敵もさっさと殺せばいいのではとか色々思うがまあどうでもいい。
あともう一つのワードが「三位一体」と訳されていたが、どうやらトリニティ実験のことらしいので「トリニティ」のままにしておいて欲しい感じはある。
ただこれらの細かいことは無視できる圧倒的なエネルギーがあるのが本作である。
タイトル通り一瞬でキスまで持っていくことで有利に物事を進める主人公の現実離れしたモテっぷりや、手がかりがあまりにも次々に見つかっていく展開が若干軽い気もするが、それが軽快なテンポ感にも繋がっている。ビンタは万能。
映像的な山場はやはり最初と最後。
オープニングとクレジットへの入り方のかっこよさが尋常ではない。
ラストは絶叫と自然音が合わさって禍々しい雰囲気を作り出し、ほとんど現実離れした強烈な光が目に刺さる。
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