このレビューはネタバレを含みます
セリフが少なくて静かな映画。
主人公の二人にはほとんどセリフが無い。主演の彼はたぶん一言も喋っていない。
普通なら飽きてしまいそうだが、むしろ観やすいと感じた。
主人公の行為、空き巣はもちろん犯罪なのだが、不思議と主人公目線で観ていた。
後半の不思議な展開も、主人公に感情移入した後だからか、不思議と受け入れていた。
(主人公が喋る設定はゲームでいうFF的で、主人公が喋らない設定はドラクエ的手法とどこかで書かれていた。なるほど)
長回しも多くて、印象的な綺麗なシーンもたくさんある。
でも長回しだけでは無いので、メリハリがあるのも良かった。
カメラのカットが変わっても、時間は変わっていないように見せるカットの仕方がうまかった。
そして、思い返しても全てに無駄がない。
時間が短めな映画は、本当に必要なシーンだけで構成されている事が多いので好きだ。
人と接する事なく空き巣を繰り返す彼と、夫の暴力から逃げたい彼女に共通するのは、自身の存在を消したかった点で、二人が惹かれあった理由なのだろうか。
それにしても、不思議なストーリーだった。
監督の不思議な世界観がうまく映像になっていて、映画になっているのだと思う。また観たい。
疑問点
・ボクシングから人の背後に回る動きを学んだ?
・ではカメラマンは?
(彼女はなぜ写真を切ったのだろう。写真とはいえ、自分の存在を人から見られたくなかった?)
・体重計は?(2人で0kg?)