ピッツア橋本

うつせみのピッツア橋本のレビュー・感想・評価

うつせみ(2004年製作の映画)
4.4
"何かを探すほどに消えゆく影"

見ず知らずの家を不法侵入しては、何も盗まず記念撮影とちょっとくつろいで帰るという奇行を繰り返す青年。ある家に侵入した時、DVを受けてる人妻に見つかってしまい恋に落ちる。そして2人は幽霊のように誰かの家に忍び寄る奇行の旅が始まるのであった。

終始2人が無言で、ちょっと他所では味わえないミステリーラブを堪能できる本作。

展開はある意味、超常現象的だし突飛なのだけれども、どこか彼らの動機や好奇心が理解できてずっと見てられる。

色々つながりを突っ込みたくもなる。ある種ホラー映画的な「危ない!後ろ後ろ!!」と叫びたくなるシーンの静かな応酬。思わず笑ってしまうカットもたくさん自分にはあった。
ただ最後のポエムによって
「ああそういうこと!じゃあ仕方ないか」
ってなってしまう笑

原題はわからないが、この『うつせみ』というタイトルは言い得て妙で、
後半に進むに従って主人公の存在感が揺らめいて、どこで鳴いているのかわからない空蝉となっていく様が本作の最大の魅力なんだと思う。

他キム・ギドク作品と比較すると性描写、暴力シーンは少なめで観やすいかなと。

他に類を見ない、侮れない逸品です。
ピッツア橋本

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