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TAKESHIS’のshxtpieのレビュー・感想・評価

TAKESHIS’(2005年製作の映画)
1.0
冒頭は『プライベート・ライアン』……? ナルシシズムやエゴの肥大化と、周囲からの期待の高まり、その2つの相反するものの重圧と軋轢とについに耐えられなくなって、ビートたけし/北野武に分裂したあげく、おしつぶされて自爆した、という印象。いや、というよりも、これは自己治癒やセラピーのための映画なのかもしれない。ゆえに、自身の「初期」作品である『ソナチネ』などを、これでもかとネタにしてみせる。そして、あの『座頭市』のあとだとは思えないほどに画は冴えており、めちゃくちゃキマっていて、意外と見ていて飽きないのだけれど……。日本の芸能界を前提にしたネタ、ギャグにはあきれる。それはテレビでやればいいのに……。もはや物語のていをなしていないものの、ぐちゃぐちゃの物語のなかで奇妙なフラッシュバックとフラッシュフォワード(?)、さらに反復が多用される。とはいえ、けっきょく、これも自身の手法のネタ化、ということなのだろう。京野ことみの受動的なありかた、岸本加世子のやたらと意地悪なありようから、なんともいえないミソジニーがにおいたつ。特に DJ のシーンで DJ (音楽の NAGI =掛川陽介か藤川祥虎本人?)がプレイするターンテーブルが女の裸体に差し替えられるあのカットは、フェミニズムでいうところの性的対象化(物象化)。強烈なミソジニーだ。道路に横たわったたくさんの死体(?)のあいだをぬって蛇行するピンクのタクシーのくだりは、映画的で圧巻だった。なんだかんだいって北野って、やっぱりものすごい才能を持っていると思う(なんて、えらそうに)。
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