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夜の勲章のMOCOのレビュー・感想・評価

夜の勲章(1963年製作の映画)
3.5
「まだ遺産は手をつけていない、犯人はなにかを企んでいるのだ」(阿久根)
 「麻薬は麻薬ルートにばかりあるもんじゃない。俺達も混同することがあった」(元刑事・岩井)
「麻薬ルートにない麻薬・・・」

 都心に構えて間もない阿久根(小林旭)の探偵事務所に調査依頼に訪れたのは夏木瑛子という看護婦でした。数日前から連絡がとれなくなった(父親の違う)26才の姉伸子の行方の捜査依頼でした。瑛子から提供された伸子の情報はクラブ・ゼロに勤めていること、クラブの支配人篠村(内田良平)と関係があること、瑛子の部屋にあった一枚の名刺でした。
 阿久根は伸子のアパート、グラブ・ゼロを訪れ、グラブ・ゼロの篠村は麻薬を扱っていること、伸子が麻薬患者であったことを知ります。
 阿久根は次に名刺の奇術師・大平天嶺(小沢昭一)を訪ね、伸子は父親が亡くなり1,000万円の相続を受けたあと大平天嶺の所をやめてクラブ・ゼロで働き出したことを知ります。
 阿久根は経過報告に瑛子の勤め先を訪ね恋人松井を紹介されます。瑛子は遺産相続のことを伸子から聞いておらず何でも話してきた仲なのにとがっかりします。
 継続捜査で阿久根は麻薬取締係で一年前に退職した元刑事の岩井(大坂志郎)を知り自宅を訪ね、留守の玄関に伸子の部屋にあった郷土人形と類似する人形を目にします。

 阿久根は秘書山岡にグラブの調査を命じ、織部という黒幕を突き止めます。

 阿久根は伸子が篠村に軟禁されていたことを突き止め篠村が伸子の失踪に関わっていると確信します。

 阿久根は何度か篠村と会っているうちに磯村は伸子を愛していて、薬中の伸子を薬から遠ざけるために伸子を軟禁していたことを知らされます。磯村の話によれば「誰かが伸子を軟禁した場所から連れ出した」のです。

 磯村は別の薬物患者の殺人で証拠を残したことで織部から抹殺の指示がでてしまいます。

 行方不明になって七日、伸子は大平の劇場で遺体となって発見され大平は容疑者として逮捕されます。預金通帳には850万円以上のお金が引き出されることなく・・・。

 夏木瑛子の依頼は伸子の遺体発見と大平の逮捕で終止符が打たれますが、阿久根は釈然としないため捜査を続けます。

 そんな中、誤認逮捕されていた大平が釈放され、伸子が死んだ夜「薬をわけてほしい」と訪ねてきて「近くの旅館に人を待たせている」と言っていたとを聞かされます。しかも軟禁状態から部屋を出たにも関わらず禁断症状ではなかったのです。

 再びグラブ・ゼロの篠村を訪ねた阿久根はその事務所で岩井と鉢合わせます。そこには自殺に見せかけられた死体となった磯村が・・・。突然殺し屋の銃撃を受けた阿久根は岩井を取り逃がしてしまいます。
 
 伸子と岩井に共通する人形を便りに大島へ向かい岩井を問い詰めた阿久根は岩井の辞職に関わる秘密と伸子への思いを知ります。
 伸子は岩井と旅館で会っていた時、少し席を外しそのまま行方不明になり、殺害されているのです。

 阿久根は軟禁状態の伸子を連れ出し、麻薬ルートにはない麻薬を与える事ができ、さらに何らかの方法で850万円を手にすることができる人物に思いあたります。そして・・・。


 小林旭氏の映画のストーリーは「つまらない」が持論なのですがこの映画はなかなかの面白さがありました。映画慣れした今観てしまえばもう一捻りと、深さが欲しくなるのですが、公開当時は十分楽しめたのではないでしょうか?真犯人は早くに予想できてしまうのですが、海外のサスペンスを意識した作りを感じます。
「歌う小林旭」に拘っていないことがこの映画の最大の魅力です。

 オープニングで上空から写し出される1963年の東京は大都会東京と紹介されるのですが高層化される前のビルは低く、現在の東京とは全く別の世界が広がっています。
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