ryosuke

恐怖分子のryosukeのレビュー・感想・評価

恐怖分子(1986年製作の映画)
4.0
無人ショットに音だけが鳴り響いている描写が、寂寥感のある良い雰囲気を出している。暴力描写も唐突で鮮烈。省略多めの編集も合わせて、北野映画に似ている感じもした。たけしは本作見ていたのだろうか。
写真や機材がぶちまけられ、揺れる電球やカーテンが映し出されるシーンは、細かいショットの組み合わせが音楽とともに印象的なイメージを作り出し、白眉。この前「アルファヴィル」見た時も感じたが、揺れる電球ってかなり映画的な被写体だなと思う。運動と光。「ク―リンチェ」でも印象的に使われていたし、エドワード・ヤンの好きなモチーフなのだろう。
暗室でのシルエットしか見えないキスシーンも美しい。
ねっとりしたカメラワークと、主人公の思いつめた表情が惨劇を見事に予感させる。
ラストのシークエンスも文句なしにかっこいい。静けさと衝撃。ラストショットのチョイス、それを切るタイミングのセンスも素敵。
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