Canape

恐怖分子のCanapeのレビュー・感想・評価

恐怖分子(1986年製作の映画)
3.5
ある夫婦を中心に複数の人生が絡み合う物語。温かみがあってざわざわしていてじっとり熱を感じるような台湾はここにはない。どこまでもどこまでも乾ききった無機質な空間。バラバラと転がるフィルム。風に揺れるカーテン。電話帳の1ページ。裾に忍ばせたナイフ。何でもないことが印象的に残る。息が詰まるような重圧感と虚無感。部分ごとに撮影した顏の写真が張り付けられ1枚の写真として浮かび上がる少女の顔。それが風に揺れ不気味に崩れる。
見えない線で繋がった複数の人生。
ふうっと吐き出された毒が知らぬ間に吸い込まれ、また他によって吐き出される。気づけば毒の蔓延した世界に浮かんでいる。毒を抜こうとして毒に侵されていく。
追いつめられていく顔と静けさに響く銃声の衝撃に怖くて動けない。