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パーフェクト・センスのkotchanのレビュー・感想・評価

パーフェクト・センス(2011年製作の映画)
3.0
嗅覚、味覚、聴覚、、、
五感が次々と失われていく原因不明の感染症が世界中で発症するというとってもヘビーでカオスな映画。

突然深い悲しみに襲われ、その後に嗅覚を失う感染者たち。五感喪失の第1波。
次は強烈な飢餓感から身の回りのあらゆるものを貪り喰う。生魚にかぶりつき生肉を頬張り、口紅や石鹸まで食べる非現実感はなかなかコワいっス 笑。その後正気に戻った感染者たちは味覚が無くなっていることに気付く。五感喪失の第2波。
嗅覚を失った後も味覚を失った後も人類はそれなりに生活に慣れ、普段の日常を取り戻していくのは人間の強さなのだろう。
そんな人類はまたしても試練に見舞われる。五感喪失の第3波は聴覚を奪われる。これ程の絶望的状況に置かれてもコミュニケーションの手段を考え、様々な知恵と工夫で平和な日常を送ろうとする努力に、人間の生命力の輝きと尊さを感じる。適応能力高すぎとも思えなくもないけど 笑。

やがてカオスの中で気付く幸福。
ここまで追い込まれなければ気付けないものなのかとは思うものの、家族、友人、恋人、身近であればあるほどその人たちの大切さには気付けないのも事実であり、五感を失っていくことで自由になる矛盾は精神の解放にも思える。この作品が伝えたいのは真の幸福とは精神の繋がりであり、五感はあくまでも補完的なデバイスでしかないということではないだろうか。

もし五感を次々に失う現実に直面したなら、
自分だったらどう受け止めるだろうか。
どんな行動を選択するだろうか。

楽しい映画ではないし、年の瀬には重すぎる。
でも少し考えさせられた。
大切な人や愛しい人がそばにいるのは当たり前のことではなく、容易く壊れるし呆気なく離れてしまうことだってある。
だから…
大切な人の手をしっかり握ってください。
愛しい人を強く抱きしめてください。
そこから伝わる温もりを忘れないでください。

視覚を失っても、
触覚を失っても、
温もりの記憶は消えない。

それがきっと"真実の愛"なのでしょう。
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