まんまとデ・ニーロに搾り取られた。顔中涙でしょっぱいわー。今でこそ色々な疾患に焦点が当たるようになってきたけれど、過去にはなんの解明もなく精神病とひとくくりにされてしまう事例がたくさんあったはず。感情を閉じ込められたまま生涯を終えた人も大勢いたのでしょうね。それを思うとたまらない気持ちです。悲しい映画ではあるけれど深刻な悲壮感が漂っていないところがいい。描かれているのは人生の素晴らしさであり、心を動かすことの豊かさだ。飛び交う笑顔のやわらかさがその証拠。注意深く観察すること。友のように肩を抱くこと。それは医者や専門家でなくともできるセラピー。医師と病院スタッフ。患者とその家族。誰もが思いやりの距離を築いている。たったひと夏の「目覚め」を皆で愛おしみ、その目にしっかりと焼きつけた記録。ゼロになって終わるのではなく、やさしく灯る何かが残った。マイベスト婆であるアリス・ドラモンドが少女のような瞳と所作。泣かせる…。