心が浄化される優しい作品。涙した。
30年もの間、惰眠性脳炎により半昏睡状態であったレナードが新薬によって夢物語のように意識を取り戻し、患者とは思えない程に回復していく。同様の患者たちも次々と同じように回復し、生きる屍であった長年の時間を取り戻していく姿が描かれている。
セイヤー医師の”人を愛する”気持ちは、人間ならば決して忘れてはいけない感情だと改めて気付かされた。それを支えるエレノアをはじめとする看護師や周囲の人々の優しさにも感動する。
｢人間の魂はどんな薬よりも強い｣
ラストはやるせなさや切なさが残るが、純真な心を持つ大切さを患者から学んだセイヤー医師の言葉は心に強く残った。レナードとセイヤー医師の患者と医師の関係を超えた友情は、とても尊くて美しい。
それにしても、本作は実話に基づく話というから驚きだ。セイヤー医師はその後も脳炎患者のために闘い続けたなんて、どれだけ強い意志を持っていたなら成し遂げられることなのだろうか。素晴らしい人物だ。
新薬を治験していたレナードが発作に陥った際、他の患者のことを思い、セイヤー医師に自分の姿をカメラに収めさせようとする姿は、特に印象的な部分であり、苦しさが込み上げてきた。
決して治らない病気を患ってしまったら、どう生きていけばいいのか。或いは、大切な人がそうなってしまったら…。どうしても考えてしまう。しかしながら、苦しい状況に陥っても光が差すことはあり、人間の魂の強さや尊さがかけがえのないものであることを本作は教えてくれる。
心温まる作品を求めている方にはぜひオススメです。
