ようすけ

ロスト・イン・トランスレーションのようすけのレビュー・感想・評価

4.3
外国の方の講演を聞くと「私はあなた方に取って置きの情報を知っている。どう?聞きたい?」というくだりがあった。いやぁ、日本人ならこういう表現をするのはテレビショッピングくらいだなぁと思いながら辟易していたのを覚えている。

グローバリゼーションだの多様性だの言うけれど、すぐそばにいる人の理解、もっと言えば、他の文化から見た自分達はどのように写っているのか、自分達のことを理解するのも難しい。日本人の描かれ方を見てちょっとそのようなことを考えてしまった。そして、日本人の英語があまり通じていない。通訳がねぇ…………。翻訳で元のちょっとしたニュアンスが失われている。いや、ざっくりしすぎ。

一時の安全地帯。だからこそ分かり合える部分もある。それはお互いわかっているけれど…………。それにしても、ビルマーレイの距離感の取り方が絶妙。人生の先輩親父としてアドバイスをするマイインターンみたいなシーンもあるが、最後のシーンであぁ、違った、やっぱりそうだよな、と思った。でも、愛なのかいとおしいのかが結局のところ分からなかった。それでも東京で良い思い出を作れて良かったねぇ。

それにしても、夜の東京の街で、三密を防ぐ今はなかなかできないことを、ビルマーレイとスカーレットヨハンソンがしてくれちゃっているのが何か羨ましかった。

追いかけるシーンでは「違う。違うって。きっと他人だよ。」と思ったが…………。

日本を好きになってくれたかなぁ。日本酒も飲んでいたし。

鑑賞する前の期待以上でした。

そういえばBGMがとても気に入った。そして聞き覚えがあると思ったら、ケヴィンシールズ。シューゲイザーのノイズが町の喧騒とマッチしていて良かった。マイヴラのラブレスを久しぶりに聞きたくなった。
ようすけ

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