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ロスト・イン・トランスレーションのNのレビュー・感想・評価

4.0
本作品について「日本へのリスペクトが欠けている」という批判を良く耳にするが、むしろこれほど日本へのリスペクトが込められた作品を私は知らない。物語の筋書きは不本意ながら来日することになった米国在住の男女が東京の喧騒の中、ひとときの恋に落ちるという一見ありきたりなものだが、舞台が無秩序な表情を持つ日本に設定されているからこそより2人の心情が浮き彫りになり、なんとも言えない切なさに約1時間半の間、胸を打たれることになる。オモテナシや新宿渋谷の摩天楼、カラオケボックスやTV番組など各所に散りばめられた日本の要素が2人の心情をより一層際立たせる装置となっている。そういった意味で舞台がこの時代の日本でなければこの映画は成立し得ないと思う。普段見慣れた日本の景色(例えばスクランブル交差点や表参道など)にスカヨハが存在する違和感も楽しめる。日本のカルチャーの中心人物である野村訓市も出演。
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