安堵霊タラコフスキー

ロスト・イン・トランスレーションの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

4.0
大学の授業で見たのが今や懐かしいが、しかし初めて見たときはその特異性にコッポラの娘は伊達ではないなと感じた思い出

この映画の特異なところは、日本の都市の異質さが如実に感じられるところで、不貞寝しているスカーレット・ヨハンソンと来日したビル・マーレイから始まるため冒頭はアメリカ映画然としているが、そこから東京の街並みが映し出されるからアメリカ映画の中での漢字やカタカナとローマ字の混ざったその風景が実に可笑しく見え、これは外国人から見た東京を表しているのと同時に自分の見慣れた景色の客観的異様さを改めて発見することにもなって実に面白い感覚だった

そんな冒頭の時点で満足感を覚えたのだけど、そこから異国の地で偶々出会った同郷の男女がその親近感故に恋愛感情を抱く過程を真実味を持って描いていて、そこもグローバル社会ならではの恋愛模様だよなととても興味深いものがあった

ところで終盤に日本人の老婆がビル・マーレイに話しかけるシーンがあるのだけど、これはもしかしたら同じ日本が舞台の傑作であるヒロシマモナムール(二十四時間の情事)のオマージュだったのか