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ロスト・イン・トランスレーションのMovingMoviesのレビュー・感想・評価

3.5
成田空港駅の電車の自動券売機と格闘している旅行者の人がいた。
「ここは火星なのか!」と悪態をついている。「クレジットカードのPINを入力してくださいって書いてありますよ」と通りすがりの火星人として伝えた。

開始30分間、素敵な映画だった。スタートから400メートルまでのクルマのタイムを「ゼロヨン」というが、映画的にゼロサン(開始30分間)の素晴らしい映画ランキング第2位だ。ビル・マーレイの魅力全開なのである。ちなみにランキング1位は「闇のあとの光」(カルロス・レイガダス監督)としたいなぁ・・・。
また本作の「最初のカットがそこかよ」という突っ込みに対抗できる映画は、「ウォーター・ワールド」(ケヴィン・レイノルズ監督)だと思う。びろうな話になるので、これ以上は踏み込まないけど。

スカーレット・ヨハンソンは、夫の出張についてきた若い妻役で、せっかくの海外旅行なのにほとんど一人で過ごしている。「何者」にも成れていない自分の将来を不安に思っている。

かつては映画にもでていたというセリフから、ビル・マーレイは今ではあまり売れていない俳優の役のようだ。昔の名声のおかげで日本では知名度がある俳優。たとえると誰になるんだろう。

東京は最高だから二度と来たくないと皮肉を言うが、タイトルのロスト・イン・トランスレーションのままに、二人は翻訳の隙間に迷いこんでしまった。

火星のように違和感だらけの最低な街も、あなたがいれば楽しかった。