新品畳

ロスト・イン・トランスレーションの新品畳のレビュー・感想・評価

3.0
嫌いな作品について少しレビューしようと思った。
自分はソフィア・コッポラの作品が好きじゃない。

彼女の多くの作品は、境遇が近しい者には強い共感力をもって接するのに反して、その他の外界に対しては主に拒絶的な立場を取っているように見えるからだ。

それが映画内ではオクシデント対オリエントだったり、セレブ対それ以外の社会階級の人々だったりする。

彼女の映画の多くの主人公は同じ価値観の圏内で出会った「似た人間」とは楽しく盛り上がれるのだけど、それ以外の対象と対峙するとメランコリックになってしまう内向的な性質を持っており、おそらくそこから行き着いたであろう結論として、
「だったら似た者だけでつるんで、外界で一緒にメランコリックをキメよう!」
という諦めとも開き直りとも取れる前向きな境地に至り、その通底したスタンス自体がソフィア作品の雛型になっているように思えるのだ。

アッパークラスの人間がやる気なく「似た者同士で楽しもうよ。」みたいな閉塞感に興じる姿はあまり見ていていい気持ちにはなれない。

とは言ってもそれは今の自分がそう感じるだけで、後年改めて見た時にまたちがう感性が芽生えて激賞するかもしれない。

芸術作品の好き嫌いなど、それくらい揺蕩ってて当然というスタンスでいつも映画を見るようにしている。

それにしても劇中歌のマイブラのSometimesは本当にいい。
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