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ロスト・イン・トランスレーションのmegのレビュー・感想・評価

3.9
ここは虚構の街

暗闇に浮かぶ極彩色のネオンも
ゲームセンターや人混みの喧騒も
バーやクラブでの親しげな会話も

光に集まる虫のように
安心を求めては群れ
列から離れる事を恐れては必死に蠢いて
一瞬の充足感の後に残るのは
言いようのない孤独


この街にはなんだってある
魅力的な服や物や美味しい食事も

だけど、
この街では欲深くなるばかり
なにが一番欲しいのか
なにが一番必要なのか
だれを大事にしたいのか

そんな、
当たり前を見失う


血の通った繋がりを求めて彷徨うのに
人混みの中を泳ぐうち
行き先をいつも忘れてしまう

なんだってあるように見えて、
ここにはなにもない


あなたと交わしたやり取りだって、
この街の喧騒みたいに
朝になれば泡のように消えてしまう
遠慮がちに交わした口づけだって、
この街のにおいみたいに
離れたとたんに忘れてしまう

だけど、それでいい
哀れで孤独で、愛おしい街
"TOKYO"




※高校生の頃、毎日いても全然飽きなかった渋谷も新宿も、今では用事が無いかぎり行かなくなったなぁ。
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