KSat

ロスト・イン・トランスレーションのKSatのレビュー・感想・評価

3.1
THE日本人が最も居心地悪くなる映画No.1。トーキョー版ローマの休日、かもしれない。

異国の言葉も通じない地でろくな伝手もなく、独りで放り出され、もはや自分の家族や友人とも心が通じるのか怪しい様を描くのだから、日本人である我々が居心地悪くなるのは正解なのかもしれない。まあ、スマホで何でも調べられてゴールデン街に外国人ばかりいる今じゃ考えられないよね。

とはいえ、河口湖のカントリークラブのヌケに映るMt.Fujiや突如訪れるCallgirl、無能すぎるNatsuko T...ranslator、速すぎるExercise MachineにうるさすぎるGaisensha、不快でしかないMatthew Minami、クラブで揉めた客に放たれるLaser gunやその後に駆け抜けるPachinko、ホテルの部屋でMasu-zakeを呑みながら観るLa Dolce Vita、最悪なShabu-shabu lunchやその後Yukataを着て小火騒ぎのホテルから追い出されるBill Murrayといった表現は、もはやマジックリアリズムといえるほど、悪意を感じざるを得ない。というか、普通に醜悪である。

特に、病院の待合室で障害者を出すことでコミュニケーションの意味を問うやり方は、ちょっとあざとすぎる。

あんなストリップバー風営法的にダメな気がするし、代官山だか渋谷だかのああいうバーに入り浸ってマリファナ吸ってる人達がその後みんなでカラオケ館に行くわけがないしな。でもそんなことをソフィア・コッポラに言っても、あの無愛想そうな顔で 「Who cares?」の二語を投げかけられて終だろう。

でも、女性らしい視点も無視できない。例えば、スカヨハがTシャツにパンティ一枚でうろうろしてるのに、旦那であるジョヴァンニ・リビシが全く反応しないくだりなんかは普通に巧いし、よく見るとリビシの存在が途中から完全に消えているのは残酷だと思う。

でもなんていうか、結局何というわけでもない噺。ちょっとなあ...。
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