タカシサトウ

切腹のタカシサトウのレビュー・感想・評価

切腹(1962年製作の映画)
4.0
 津雲半四郎(仲代達矢)が、いきなり井伊家の屋敷に来て、玄関先で切腹させて欲しいと言ってくる。以前にもそういう男がいたことが分かり、そこから、思いも寄らない展開が…。

 それにしても、切腹のシーンは痛過ぎて見るのが辛いし、金がないうえに、病気の子供を医者に見せられないとは、何とかならなかったのか等、辛いシーンがあり、しかも、ラストは、容易に溜飲が下がるとは言い難い幕切れ。

 全体としては、かなり面白かったが、武家社会の矛盾をギリギリのところで鋭く批判出来た作品だそうで、娯楽時代劇とは一線を画しているので、辛いのはそういう所もあるが、それが為に、傑作となったのかもしれない。

 仲代達矢が圧倒的な存在感だし、若い頃の丹波哲郎は光っているし、井伊家の家老の三國連太郎の憎たらしさも上手い。

 10年位前に観て、本当に面白いと思ったが、今回はちょっと辛かった。「一命」としてリメイクされているが、そちらは、ちょっと観るのが怖い。

 小林正樹監督作品の他の作品もいつか観てみたい(2022.11.20)。